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原木シイタケ栽培を継承 安定した収穫へ 水分管理に注力

2024年3月1週号

越前町 松山孝治さん

 「原木シイタケ栽培という産業を残していきたい」と話すのは、越前町上糸生の松島孝治さん(35)。2017年に家業の原木シイタケ栽培や販売を始め、水稲栽培(7㌶)にも力を注ぐ。
 山に囲まれた同地区では自然の特性を生かし、昔は炭焼きを、高度経済成長後は原木シイタケを生業とする農家が多く、全盛期には40軒以上の生産者がいた。現在では、菌床栽培の普及や価格低下などの影響で、販売までを手掛けるのは松島さんを含め2軒となった。
 シイタケ栽培を始めたのは松島さんの祖父の代。50年以上も続けてきた祖父の思いを、栽培を通じて感じてみたいと考え家業を継いだ。
 「自然環境の中で育つ原木シイタケの香り・味・肉質を味わってほしい」と松島さん。栽培期間は植菌してから2年以上と長く、気温によって発生時期が異なる品種を組み合わせ、収穫期の分散を図っている。安定した収穫量を確保するため、ホダ木の水分管理として夏場の暑さ対策の散水や天地返し作業などに注意を払うという。
 食育・木育の一環として地元の保育園児向けの植菌体験などを開催し、「シイタケ栽培を通じて、日本食文化である出汁(だし)を守っていきたい」と話す。

「暖冬の影響か、今年は3月上旬から収穫が始まりそうだ」と松島さん