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堆肥づくりで酪農仲間と協力 品質追求 農業者を応援

2023年9月1週号

越前市 佐々木隆嘉さん

 「堆肥作りを続けてほしい」という要望を受け、牛ふん堆肥の製造・販売に力を注ぐ越前市大虫町の佐々木隆嘉さん(69)。けがで酪農を続けられなくなり、堆肥作りもやめたが、酪農仲間の協力を得て堆肥作りを再開、県内の農業者らへ販売している。
 佐々木さんは父親から酪農を受け継ぎ頭数を増やしていったが、増えていく牛ふんの処理に困っていた。そこで始めたのが牛ふんを使った堆肥作りだ。2000年に牛舎のある敷地内にロータリ式発酵機を設置し、堆肥センターを建設。牛ふん堆肥の製造・販売を始めた。
 「始めた当時は、臭いや水分量などで使用しにくいと怒られた」と佐々木さん。現在は、茶製造業者から廃棄される茶かす、もみがら、くん炭などを混ぜ、2ヵ月ほどかけて発酵させている。
 さらに、タンニン鉄が作物の生育促進や食味向上に繋がると知り、茶かすと鉄を使った鉄茶を自作し堆肥に加え、品質向上に努めた。
 同市で4年前から佐々木さんの堆肥を施用する株式会社いーの越前の稲作担当・大橋広明さんは「食味値が毎年上がっている。良い米作りは良い堆肥を使った土作りからが鉄則だ」と高く評価。佐々木さんは「今後も堆肥で農業者の土作りを応援したい」と話す。

袋売り堆肥「野菜と家族」を手に佐々木さん。稲作や野菜のほか果樹栽培にも使用されている