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稲の特性を畑作物にも 食料問題に貢献したい

2023年12月1週号

福井県立大 芝 日菜子さん

 「世界の食料問題に貢献できるように、これからも研究を進めていきたい」と話すのは、永平寺町にある福井県立大学大学院の修士2年・芝日菜子(しば ひなこ)さん(23)。同大の生物資源学研究科で、2021年の学部時代から稲と大麦の生育の研究に励んでいる。

 「稲など水の多い環境でも生きられる植物と、そうでない大麦などの植物の根には大きな違いがある」と芝さん。水が多い土壌では酸素が減り、根が呼吸困難になってしまうことで多くの植物は枯れるが、水田で育つ稲は呼吸困難を防ぐ機能が根にあるという。

 芝さんは、稲の特徴を同じイネ科のトウモロコシや小麦、大麦などの畑作物に付与することができれば、水が多い環境でも栽培できるようになるのではないかと考えた。

 現在、稲と大麦がどのように根の張り方を変化させているか、根の周りがどのような酸素状態になっているのか調査している。

 芝さんは「県内でも大雨による被害が年々増え、世界的な食料不足が深刻化してきている。私の研究が実用的なものとなり、世界の問題解決に貢献できればうれしい」と話す。

 

「地道な作業だが、一歩ずつ取り組んでいきたい」と研究室でデータ分析に取り組む芝さん