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1月に「若狭牛」初輸出 台湾へ 現地の舌うならす

2025年7月1週号

坂井市・野村潮司さん、一真さん

<30カ月齢まで飼育・A5のBMS12>

 「人とのつながりで輸出につながった。大きな一歩が踏み出せた」と話すのは、坂井市坂井町の野村ファームの野村潮司さん(69)と息子の一真さん(36)。今年1月、同ファームで生産された黒毛和種「若狭牛」が初めて輸出され、3月に台湾のホテルで開催された「美食福井フェア」で県産食材とともに提供された。

 今回台湾に出荷された牛は、28カ月齢ほどで出荷するところを約30カ月齢と長めに飼育し、生体熟成された雌の黒毛和種。A5のNo.12という和牛肉の中でも最高ランクで出荷され、オレイン酸の含有量が55%以上となり「三ツ星若狭牛」に認定された。
同ファームでは、若狭牛を常時110頭ほど飼育しており、年70頭前後を出荷する。

 以前に県外の牧場に視察へ行った際、乳酸菌が配合された飼料を与え、生育が良好になったと聞き、自分たちも取り入れたいと思った一真さんは、知り合いの業者と調整。2023年から乳酸菌が含まれた飼料を試験的に与え始めたところ、病気をする個体が少なくなってきたという。一真さんは「健康が維持されることで、病気やストレスに強い牛が増えてきたのではないかと感じている」と話す。
 体調など牛の状態をこまめに見回り、些細な様子の変化に気付いた場合は、すぐに対応し、処置できる体制を整えている。また、牛舎の中を清潔に保つことで、牛にストレスフリーな環境づくりを心がけている。

 県流通販売課の担当者は「今回のレストランフェアで、台湾でも『美食福井』食材に関心を持っていただくとともに、若狭牛のおいしさが高く評価された。これをきっかけに、今後も若狭牛の継続的な輸出および海外販路開拓につなげていきたい」と話す。
 潮司さんは「今回の輸出で若狭牛に興味を持ってくれる人が増えた。これからも県や企業とタイアップしながら、消費者に喜ばれるおいしい若狭牛を届けていきたい」と意気込む。

写真①:「地元産の飼料米や稲わらを利用し、コスト削減に努めている」と潮司さんと一真さん


 
写真②:台湾でのイベントで提供された若狭牛のたたき(写真提供:福井県)