大玉トマトで機能性表示食品取得 ”健康を届ける会社”へ
2025年8月4週号
坂井市坂井町 三つ星株式会社
坂井市坂井町の三つ星株式会社は、栽培する大玉トマトで機能性表示食品を取得した。女性をターゲットに、紫外線刺激から肌を守る「リコピン」と、疲労感の軽減に関与する「クエン酸」の機能性を表示した2商品。県内の生鮮食品では事業者として初だ。現在リコピンは販売しており、クエン酸は9月中旬から販売を予定する。
「商品の健康価値を伝えるには、機能性の表示が一番伝わりやすいと思った」と話すのは、冨田美和代表取締役(47)。同社は2018年に設立、翌年から50㌃10連棟のハウスで大玉トマトの栽培に取り組む。現在はトマトのほかに、露地で白ネギ8・8㌶、水稲1・8㌶も手がける。
当初は高品質なトマトを安定的に出荷することを目標としていたが、コロナ禍や異常気象、物価高に直面。「このままでは危ない」と〝健康を届ける会社〟へとブランドの再構築に踏み切った。
▶県研究所が協力 品種などを選定
その第一歩が主力の大玉トマトによる機能性表示食品の取得だ。着手から取得までに要した期間は約3年。「栽培条件や収穫時期によって栄養成分が変わるので、サンプリングと成分分析が一番大変だった」と振り返る。
県の食品加工研究所の協力の下、品種や栽培時期、収穫のタイミングを1年半かけて絞り込んだ。さらに、機能性表示の要件確認などは専門のコンサルタントに依頼し、パッケージも表示に詳しい業者に作成を注文して作りあげた。
パッケージは女性を意識した優しい色合い。リコピンは200㌘(1~1・5個)を、クエン酸は75㌘(0・5個)を食べると、1日あたりの機能性関与成分量の50%が摂取できることも表示している。リコピンは8月中旬から販売。クエン酸は9月中旬から伊勢丹新宿店や県内にあるスーパーの平和堂で販売を開始する。
「来年は年間の収穫量130㌧のうち、約1割を機能性表示食品として販売したい」と目標を話す冨田代表。毎年、新しい品種を試験的に栽培するなど改善と挑戦に努力を惜しまない。
今後、白ネギも栄養機能食品での販売を予定しており、健康価値を打ち出した商品戦略で会社としてのブランド力向上を図る。
写真①:「トマトは甘いだけでなく、酸味、うまみとのバランスが大事」と冨田代表
写真②:リコピンを含む機能性表示食品として販売する大玉トマト