希少な「ガンジー」種導入 受精卵移植で増頭へ
2025年9月1週号
坂井市三国町 株式会社浅藤牧場 牛乃道
坂井市三国町池上の株式会社浅藤牧場 牛乃道(うしのどう)は、「ホルスタイン」種のほか、全国でも希少な「ガンジー」種を飼育している。浅藤一生代表取締役(45)は、6次産業化にも積極的に取り組み、ソフトクリームの販売や業務用のソフトクリームミックスの製造・販売など事業の幅を着々と広げている。
「ガンジー牛のミルクは、ジャージー牛と同じくらいの乳脂肪分を含んでいますが、すっきりとした味わいで飲みやすいです。年々暑くなる日本では求められる味ですね」と浅藤代表。
同社で飼育するガンジー牛「みち」は受精卵移植(ET)により、2023年10月に誕生した。北陸3県では初の事例。現在、みちから8個採卵しており、ETで増頭していく考えだ。
飼育するホルスタイン56頭には、高グレードの飼料を給与。夏場でも安定した乳量と乳質を保つことに注力している。
浅藤代表は元々、小売業を営んでいたが、11年頃から義父の下で牧場経営に携わり始め、22年に事業を受け継いだ。当初から経営の要としてブランド力の向上と6次化を意識し、ガンジー牛は、その希少性とミルクのおいしさから導入したいと考えていた。ホルスタインと比べて乳量が約半分と少ないが、栄養価が高く澄んだ味わいが魅力だという。
▶ソフトクリーム6次化に力注ぐ
24年には「道の駅みくに」に店舗を構えて、ソフトクリームの販売を開始した。滑らかな口溶けで評価の高いカルピジャーニ社製の製造機械を導入し、地元の農園からトッピングの果物を仕入れている。あえて甘さを控えているというソフトクリームは口に含むとふわりと溶け、ミルク本来の味わいが広がると好評だ。
業務用のソフトクリームミックスも製造し販売。要望に応じたオーダーメイドミックスの製造も手がける。小規模経営を活かした細やかな対応で、県外からも注文が入る。
「将来的にはガンジー牛を15頭まで増やして、このミルクのおいしさを多くの人に味わってもらいたい」と抱負を話す。
写真①:浅藤代表とみち。現在、妊娠鑑定で陽性が確認されており、無事生まれれば4月中旬から搾乳が可能。
写真②:坂井市三里浜産のマルセイユメロンを使った「メロリーナ」(左)。梨ソフト(右)のナシは時期ごとに品種を変えて提供する。11月末まで楽しめる。
写真③:週替わりでフレーバーが変わる国産米粉100%のシフォンケーキも人気(濃厚チョコ味)