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これが俺の新天地

2017年4月1週号

消費者の笑顔を支えに


「みんなに坊主、坊主と言われ、可愛がってもらってます」
と話す山口さん

「ネタを裏でつくり披露するお笑い。肥料をやり育てた作物を提供する農業。お客さんの反応(笑顔)を見る共通点は一緒」と話すのは、元お笑い芸人で福岡県出身の山口智(さとし)さん(30・芸名山(やま)坊主(ぼうず))。坂井市坂井町にある伊藤農園(伊藤浩一代表・水稲30㌶、麦・大豆・そば30㌶、園芸施設7棟)で就農し3年目を迎える。

笑いで地域を活性化するという企画で、本県出身の相方と2011年に来福した。地元ネタで県内市町の巡回や、ラジオ番組でのパーソナリティ、更にテレビ番組への出演など年を重ねる度に、県内での評判が上がっていった。
芸人は一舞台いくらで時間も不規則。妻の両親からは「定職に就くことが結婚の条件」ということもあり、お笑いに未練はあったが15年3月に解散した。当時、住込みでバイトさせていただいていた同農園の伊藤さんに相談し、二つ返事で雇用へ。「経営が厳しい状況の時だったが、坊主は要領が良く、今後必ず農園のプラスになると思った」と伊藤さんは山口さんへの期待を話す。
 伊藤さんからは、「お客さんの笑顔を想像した作業を」とよく言われ、一つ一つ丁寧な作業を心がけている。農業は1年に一度しか勉強はできないが、「やればやるほど反応が返ってくる」と笑いとの違いを話す。

また、農業は土地条件によって作業が異なるなど、知識と経験が必要。農業人になるには10年はかかると思うがやりがいを感じている。
現在は、産業用無人ヘリコプターのオペレーター技能習得を目指している山口さん。同農園で11月に開催するそば会では、自慢の芸を披露している。農業に笑いを結びつけ、県内外においしさや安全・安心を発信したいと考えており「山坊主ブランドを立ち上げたい」更に、「地域の方との情報交流を増やし、福井に根を張わせ花を咲かせたい」と今後の抱負を話してくれた。


お笑いを披露する山口さん㊧​​​