広報

学び考え行動頑張る高校生

2017年8月1週号

農業のリーダー育成へ実践研究


トマトの茎径を計測する北村さん㊨と山﨑さん㊧

2015年に、文部科学省から「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」(SPH)の指定を受けた若狭東高等学校(小浜市金屋・松宮武彦校長)では、年次計画や方向性などを示したテクノアグリプログラムを作成し、高度な農業知識や技能を身に付けた人材の育成を目指している。SPH指導担当の水島智史教諭は「生徒の課題解決への意識が高まっている」と成果を話す。
同プログラムは、薬用植物の産地化や、植物工場など高度な施設園芸に対応をすべく、大学や企業との連携が組み込まれてある。また、生産、調理・加工、販売といった総合的な取り組みを進めるため、同校の商業・工業系学科の協力も得ている。
3年生はテーマごとに分かれ、課題研究に取り組む。「市場での付加価値を高める」をテーマに、昨年度から先輩たちが研究した、低カリウムトマトの栽培を引き継いだのは、地域創造科食農創造コースの北村拓也さんと山﨑航輝さんの2人。カリウムの摂取制限がある腎臓病患者に対して、制限を気にせずおいしく食べられるよう、自作の培養液を用いたカリウム30%減の水耕栽培にこのほど成功した。一方、糖度と収量が落ちる課題が残った。
現在、2人はその課題解決に向け、茎部への発育抑制をかけ根からの吸水量を調整。糖度が増すよう試行錯誤を繰り返している。また、太陽光に加え、発光ダイオードによる人工光の補光よる生育の違いの研究や、栽培装置の知識習得にも励んでいる。


「今年はSPHの最終年。
生徒が考察する時間に配慮したい」
と話す水島教諭

研究を通じ2人は、将来の進路を決めた。農業大学への進学を決意した山﨑さんは「教員免許を取得し、次世代に先細りしない農業を教えたい」と。また、施設園芸の盛んな農業法人への就農を希望する北村さんは、「農業は栽培から販売まで幅広く分野が分かれているが、自分が進むべき道が絞れた。将来は経営者を目指す」と話す。
生徒自らが考え行動する事を重視する水島教諭は、生徒たちに「なぜ」を常に問いかけ、自らも再度勉強し直しているとのこと。「常に考え問う姿勢を忘れず、新たな若狭を創る人材に育ってほしい」と期待を話す。今年度で、SPHは最終年となるが、3年間で築き上げた連携や研究は今後も受け継がれていく。