広報

遊休農地に牛放牧

2017年8月4週号

人が集まり獣害も減少


7月に開催した入牧式で、
牛に草をあげる園児たち

にぎわう里山と農地の再生を目指すため、昨年から遊休農地に若狭牛を放牧しているのは、越前町(旧織田町)の「織田地区の農業を振興する会」代表平沢正淨(まさきよ)さん(65)。
同地区では、遊休農地が年々増え、里地と野生動物との境界線が曖昧になり、シカやイノシシによる田畑の農作物被害に悩まされていた。そこで、県内で被害防止の実績がある牛の放牧を取り入れた。
県嶺南牧場から借り受けた妊娠中の雌牛2頭を、7月から9月末まで放牧。約30㌃の農地で、ススキなどの雑草を食べて、遊休農地の手入れをしてくれる。妊娠牛は、気性が穏やかで、ゆっくりと動くため、放牧に最適。本来は群れで行動する習性もあることから、2頭以上放つことで、牛もより落ち着いて行動するという。
7月に開催した入牧式では、地元の保育園児を招待したこともあり、以来、子どもたちが家族を連れ、牛を見に来ることにつながっている。さらには、人が何度も来ることが獣にとって居づらい場所となっている。
平沢さんは、「牛の放牧は、農地再生と獣害対策の一石二鳥である。今後も活動を継続し、本来の美しい景観を守り、里山がにぎわうきっかけとなれば」と期待を話す。