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夢ふくらむ6次産業化

2017年11月1週号

チーズケーキなど ロゴデザインは卵色で統一


「商品が飽きられないよう、
新商品開発も大切」
と話す良一さん。

「自分で育てた食材を使うからこそ、商品の差別化が図れる」と話すのは、敦賀市沓見にある「ささえたまご農園」の代表・佐々江良一さん(62)。採卵鶏のもみじ250羽、烏骨鶏100羽を放し飼いし、卵の販売とともに、卵の素材を生かせるチーズケーキとプリン、カステラなどに加工している。
山あいにある敷地25㌃に放たれた鶏は、自由に駆け回り生き生きとしている。餌は飼料用米・米ぬか・おからなどにバイカコーソ菌を混ぜ合わせた自家製の発酵飼料だ。薬剤はできるだけ使用しておらず、黄味はオレンジ色、張りのある卵白で、「自然で力強い卵です」と良一さんは胸を張る。
放し飼いのためケージ飼育に比べ50%ほどの産卵数となる。全てが販売用になるわけではなく、大きさや殻の見栄えが販売に向かない卵もある。


「独自配合の餌なので卵の臭みもなく、
鶏も元気」と話す良一さん

そのため、販売にまわせない卵の付加価値を高めようと、自家産生乳で加工品を作っている酪農家を訪れ、家庭用オーブンでやプリンなどを作って販売する方法を学び、2002年から加工を始めた。
「新鮮で卵黄をたっぷり使ったチーズケーキは、一口食べただけでその濃厚な味わいにお客さんの顔が変わるんです」と話す良一さん。イベントなどに出店し、おいしいとの口コミが広がり、県内スーパーの一番の販売スペースを任せられるまでになり、今は加工品の売り上げが収入の8割を占める。また、一目で同農園の加工品と分かるよう、商品ロゴは卵黄のオレンジ色を基調とするデザインで、パッケージにも気を配っている。
「農業は重労働のイメージがあるが、加工を加えた六次化で労力配分の幅が広がる。分業することで負担は軽くなるので、積極的に挑戦してもらいたい」と話す良一さんは今後も「農業体験や料理教室を通じて、食育の大切さを伝えたい」と笑顔だ。