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産地化へ一歩ずつ

2017年11月2週号

水田活用してブロッコリー


「花蕾がドーム状のため、
『さばえさんどーむブロッコリー』
と呼ぶんです」
と話す加藤部会長

県内で水田を利用した園芸作物の振興が図られている中、鯖江市ではJAたんなん、行政との連携により、ブロッコリーの産地化に成果を上げている。生産者の調整・箱詰め作業の時間削減による面積拡大や、品質の統一化による販売単価の向上を目指している。
同JAでは今年8月にブロッコリーに特化した野菜集出荷貯蔵施設を整備。「たんなん野菜生産組合ブロッコリー部会」部会長の加藤安造さん(58)は、「施設整備により、収穫後の作業の手間が大幅に楽になった」と話す。
ブロッコリーは固くしまった花蕾が求められ、品温が低い早朝どりが基本。これまでは収穫後、生産者自らが規定の長さにし、外葉を除き、サイズ(直径)、品質(秀・優)も選別して搬入しなくてはならず、一日当たりの収穫本数も限られていた。
 新施設では、選別に係る時間削減のため、長さ調整やサイズ分けなどを担当者が選任で行う。更に、足が早いブロッコリーの鮮度を保てるよう、県内初のスポットエアコン・製氷機貯氷庫など冷蔵機能を完備し、氷詰め出荷による付加価値化も期待されている。
 

栽培を指導する丹南農林総合事務所農業経営支援部の中瀬敢介主任は、「収穫適期が短く面積拡大の妨げとなっていたが、施設整備により拡大が可能となった」更に「重粘土質で根菜類には向かない土壌条件の中、麦跡の排水溝を活用すれば栽培環境は整う。今後は個人だけでなく生産組合等にも作付けが波及してほしい。また、育苗技術の安定を図り作付期間の拡大にも取り組みたい」と話す。


施設に搬入されたブロッコリーの
鮮度を保つため
素早く選別される

 こうした中、新たに栽培を始める生産組合も出てきている。長年栽培に取り組む一人、高島幸次さん(72)は、「少人数では産地が長続きしない。仲間が増えることで部会も盛り上がり、勉強会にも熱が入る」と栽培者の増加を喜ぶ。
 ブロッコリーは価格が安定しており、播種から収穫まで95日程度で2毛作も可能。加藤部会長は、「露地でも栽培でき、大型機械も必要ない。水稲に比べ単当たり2倍以上は収益が見込めるため、施設整備を機に生産量を増やしていきたい」と抱負を話す。
昨年に比べ実栽培面積が2・4㌶増え、秋冬どりは95千個の集荷を見込み、県内だけでなく関西にも初出荷される予定だ。