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収穫用コンテナでシャインマスカット栽培してみませんか?

2019年6月1週号

収穫用コンテナでのシャインマスカット栽培 福井県農業試験場園芸研究センター

福井県農業試験場園芸研究センターウメ・果樹研究グループは昨年、収穫用コンテナを利用した根域制限栽培とトンネル(簡易雨よけ)を組み合わせたシャインマスカットの栽培技術を開発した。土壌の影響を受けないため、排水性の悪い圃場でも栽培でき、高品質果実を生産しやすいことが特徴だ。
根域制限栽培は、樹勢が落ち着つくことで、密植による早期成園化と果実品質の早期安定が図れる。資材に収穫用コンテナを使用することで、排水が良くなり、ベッドを組み立てる方法や客土に比べてコストが抑えられるほか、根詰まりを起こした際、コンテナを入れ替えることができる。コンテナ栽培は地植えと同等の収量で高品質果実を生産できる。(表1)作業効率や果実着色の向上傾向がみられ、今後研究予定だという。
コンテナは長辺同士を合わせ横に3個を並べ、1個あたり40㍑で用土を入れ、コンテナ間にも土を入れ、真ん中のコンテナに苗を植える。排水が良い分、かん水が重要になることから、全てのコンテナにスプレーペン(かん水資材)を設置し、全体に水が行き渡るようにする。乾燥を避けるため藁などを敷く。(図)植付け時期は11月下旬から12月で、樹間6m、列間2・2㍍が基準。翌年には両脇に2個のコンテナを増設する。
新梢が雨に当たると病気が発生しやすくなることから、トンネル(雨よけ)を併用。通常、100㌢ほどで新梢を摘心するが、トンネルの幅に合わせて80㌢で強摘心。果実品質を落とさずに、病害発生リスクを下げることができる。(表2)
技術を導入した川合芳彦さん(坂井市三国町新保・51歳)は「色づきや糖度を上げることを目的に、今年3月から新たに9本のブドウをコンテナで栽培しています。今後の成育が楽しみです」と期待を込める。
同グループ主事福島健司さんは「水稲育苗ハウスの有効利用としてもおすすめです」と話す。今後は、県産ブドウの愛称「ふくぷる」の品種(シャインマスカット他サニールージュ、ブラックビート、藤稔)への応用や、減農薬栽培について試験を重ねていく。

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8年目の木とコンテナ・トンネル栽培の様子を見せる福島さん。