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酒米新品種「さかほまれ」日本一の酒に

2019年6月2週号

農事組合法人エコ・ファームてらお 勝山市寺尾

近年、日本酒における消費者の志向は量から質へと変化しており、米を磨く度合いの高い大吟醸酒などの生産が増えている。福井県農業試験場は栽培特性に優れた大吟醸酒用米「さかほまれ」を開発。今年から奥越地区(大野市、勝山市)で栽培が始まり、今冬から県内17の蔵元で「さかほまれ」を使った醸造が開始される。
「米、酵母、水全てが県内産の大吟醸酒を作りたい」という県酒造組合からの要望を受けて、同試験場は、2010年度から「さかほまれ」の開発に取り組んだ。「山田錦」とJAテラル越前が育成・品種登録した「越の雫」の交配品種で、「山田錦」よりも倒伏性、脱粒性、穂発芽性が改善されている。「さかほまれ」の名前は、一般公募された中から選ばれ、―「昨年から本格販売を開始した『いちほまれ』と並んで、日本一おいしい酒になるように。酒を飲んだ人が栄えるように」との願いが込められている。
勝山市寺尾の農事組合法人エコ・ファームてらおでは、5月上旬から約62㌃の「さかほまれ」の栽培に取り組んでおり、10月上旬に収穫を迎える。同法人の役員松原義紀さんは「栽培期間が長く、特別栽培のため、細心の注意を払っています。精米歩合35%をクリアできるよう品質の良い米をつくり、奥越の『さかほまれ』じゃないとダメだと言われるようにしていきたいです」と意気込む。
奥越地区は県内の山間部に位置し、昼夜の寒暖差が大きく、酒米では「五百万石」の栽培が盛ん。9経営体が「さかほまれ」計8㌶をマニュアルに沿って減農薬、減化学肥料で栽培し、計30㌧を生産する。
県農林水産部中山間農業・畜産課6次産業化グループ主任川崎佳治さんは「『さかほまれ』は、長年待ち望まれてきた県開発の大吟醸酒用の酒米です。和食や日本酒人気の高まりに合わせて、米どころ福井・酒どころ福井を全国にアピールしていきたいです」と話す。

農事組合法人エコ・ファームてらお
経営内容:水稲22㌶、大麦・ソバ12㌶、さといも62㌃、ハウス5棟メロン等

「いい酒をつくってもらいたいですね」と松原さん。

「さかほまれ」の玄米㊧と精米歩合35%の米(福井県提供)