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中山間地6次化で活性化へ

2019年11月4週号

株式会社南越前総合ファーム 南越前町八飯

「中山間地域では、過疎や農業の継承が大きな課題です」と話すのは、株式会社南越前総合ファーム専務取締役の藤本俊昭さん(南越前町八飯)。今年9月に設立された同社は6次産業化を軸に経営規模拡大を目指す。

同社は、水稲、大麦、ソバの生産を行う農事組合法人YAIから株式会社へ組織を変更した。以前から専業で従事していた野﨑正和さんが代表取締役社長に就任し、6次産業化などのコンサルティングを行う株式会社アジチファーム(本社福井市黒丸町)会長の義元孝司さんを役員に迎え、田中裕美さんが新たに入社した。

同社は、6次産業化への手始めとして、今年から同町の特産品である「今庄つるし柿」の生産を始めた。つるし柿は、渋柿「長良」の皮を剥き、縄でつるし、4日ほど燻して乾燥させる。地元の名人から手ほどきを受け、初年度は3~4千個の商品化を目標としている。「手間がかかり、生産量は減少しています。先人の知恵を受け継いで、多くの人に知ってもらいたいです」と田中さんは話す。

将来的にロボット農機を活用するなどして経営の効率化を図ろうと、田中さんらは11月1日、アジチファームのロボットトラクターを使った農機メーカーの訓練を受講した。田中さんがトラクターを運転してGPSで圃場の周りを測位し、その後、自動運転で溝切り作業を行った。「経営面積を広げて、効率化を図るには、スマート農業がポイントだと思います。中山間地こそ、労働力の確保と機械化での効率化が求められます」と藤本さんは話す。

「今後は、雇用を生むような経営にしていきたいです。海外の実習生を迎えることや、海外への販路拡大にもチャレンジしていきます」と野﨑さんは意気込む。

 

「ネット販売にもチャレンジしたいです」と田中さん

「400年以上の歴史があり、冬場の仕事として代々伝承されてきました」と柿をつるす藤本さん

柿の皮を剥く野﨑さん㊧と田中さん。「まずは地元の人に食べてもらいたい」と話す

ロボットトラクターを使った訓練の様子