広報

伝統野菜 板垣だいこん

2019年12月1週号

板垣だいこんの会 福井市

「首が鮮やかな緑色をしていて、辛みが強いことが特徴です」と話すのは板垣だいこんの会代表の青山義弘さん(福井市板垣)。栽培を守り、食べ方を伝え、住民間の交流を深めている。
板垣が属する木田地区は、福井市の中心部に近く、子育て世代の人口流入が多い。市街化により生産は減少傾向にあるが、木田ちそ、木田青かぶ、板垣だいこんの伝統野菜がある。
 板垣だいこんは宮重系の細根で、明治時代に選抜・育成され、代々受け継がれてきた。9月上旬に種を播き、45日ほどで収穫する。一部を採種用に残し、11月頃に斜めに植え替え、6月に種を取る。7名が計10㌃で栽培しており、うち3名が10月上旬に市場へ出荷している。辛みを活かし「越前おろしそば」に使用されるほか、糠漬けや、「するめ大根」などの食べ方がある。無農薬で板垣だいこんを栽培している青山さんは「暑さで虫が多いと育ちません。種を撒く時期が一番重要です」と話す。同会は、栽培を守り、年齢差を超えて交流を深めるという主旨で約20年前に発足。現在は20名の会員がいる。
会の活動は主に3つ。「ざいしょ朝市」での直売、大根料理のPR、体験教室だ。朝市は5月末から12月第一週までの、日曜に開いており、会員らが減農薬で栽培する旬の野菜を手頃な価格で提供している。行事の際には伝承料理の、するめ大根や、「板垣焼き」(タコ焼きのタコの代わりに、するめ大根が入る)を販売するなど大根料理をPRしている。するめ大根は酒の肴にもなり、人が集まる時の定番メニューだ。体験教室「親子ひゃくしょうの会」は、伝統野菜3種や夏野菜の種まき、管理、収穫、料理の教室を開く。年8回の開催を通じて、農業や地元の食文化への理解を深めている。「野菜を通じて、移住してきた人たちとも交流することができます。これからも伝統を守り伝えていきたいです」と青山さんは話す。

「野菜作りの楽しさを知ってほしい」と板垣だいこんを手に青山さん

イベントでの出店。試食も用意

するめ大根㊧するめの味をしみ込ませた煮物。しょうゆ、砂糖、酒で味付する。たくあん煮㊨