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天然の冷蔵庫「つんぼり」

2020年1月4週号

県内でも特に雪深いことで知られる池田町では、収穫した野菜に稲わらを被せ、雪の中で冬を越す「つんぼり」という貯蔵方がある。
つんぼりは、畑に半径2m位のこもを敷き、軽く土を払い、葉を切り落とした大根などの根菜類を、隙間なくピラミッド状に積み上げていく。次に稲わらで周りを覆い、上から笠を被せ、風で飛ばされないよう縄できつく縛り完成する。
つんぼりの中は、冷蔵庫と違い湿度が高く、温度も一定に保たれる。そのため凍結や腐りを防ぐことができる。また、付着した土が呼吸を助けるため、根菜そのものも生き続けている。その証拠に越冬後は、びっしりとひげ根が生えている様子が見てとれる。
数か月間ゆっくりとわらの中で越冬させた大根は、シャリッとしたみずみずしい食感で、甘みや旨みをより強く感じることができる。
以前はあたりまえのように見られたつんぼりだが、今ではほとんど作られていない。池田町農業公社(同町藪田)が、地域資源連結循環型農業の一環として、6年前より取り組んでいる。同公社 次長の佐飛充浩さんは「雪に苦しめられてきた中から生まれた貴重な文化。今後も取り組み先人の知恵を継承していきたい」と話す。
∇完成したつんぼりを見せる佐飛次長