広報

農福連携で共生社会を築く

2020年11月1週号

耕作放棄地再生に一役「夢の果実」を直販 NPO法人ピアファーム(あわら市二面)

「ぶどうや梨を『夢の果実』という名前で直売し、障がいがある人の働く場を整え、収入増加と地域農業の発展を目指している」と話すのは、あわら市二面のNPO法人ピアファーム理事長の林博文さん。同法人は就労継続支援B型事業として果樹や野菜を栽培するほか、直売所の運営を通して障がいのある人に就労の機会を提供している。
同法人は、稲作を行っていた社会福祉法人から2008年に独立して設立され、現在は認定農業者としてぶどう0・7㌶、梨2・2㌶野菜1・2㌶を栽培している。これまで計2・7㌶の耕作放棄地を再生させ、後継者のいない梨園を受け継ぐなど地域農業の担い手となっている。また、果物の摘み取り体験ができる市内の観光農園「あわらベルジェ」はあわら温泉近辺の観光拠点だ。障がいがある人と職員、地域の農業者、ボランティアの協力と念入りな計画のもと先進的な経営を行う。梨の栽培は、就農6年目で職員の宗石潤一さんがリーダーとなり、障がいがある人は園地の草刈りや、実の袋かけ、収穫などの作業を受け持つ。また屋外だけでなく、接客や袋詰めなど屋内での仕事も様々あり、そういった環境で、障がいのある人たちは日々できることが増えているという。   
誰もが安全で働きやすい労務環境づくりを重視し、農産物の品質向上と環境保全、経費節減を目的に生産工程管理にも取り組み、今年ぶどうと日本なしで、ASIAGAPVer・2・2の認証を取得した。
今夏は感染症対策を徹底して観光農園を営業した。活動に賛同してくれる方に果物を直送する賛助会への発送や直販も多く、土日は特に繁忙となったが、無事完売することができた。
「農業は障がいにより様々な課題がある人でも従事できる。地域農業の担い手問題と新しい生活様式に対応しながら、栽培面積を拡大し、新品種の育成や、ぶどうの醸造にも取り組み、誰もが楽しめる農園にしていきたい」と林さんは意気込む。


「果樹栽培は奥が深い」と宗石さん

梨園の除草作業の様子