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毎日収穫・出荷 黒河しいたけ 新たな特産に

2021年11月3週号

 福井県敦賀市 山内繁広さん(55歳)・久美さん(52歳)夫妻は、2020年3月からシイタケ栽培用ハウス(2.4㌃)で新たな特産品の『黒河(くろこ)しいたけ』の生産を始めた。久美さんと家族が毎日収穫・出荷し、市内の6か所のスーパーと直売所で販売。輸送に時間がかからず、温度変化が少ないため鮮度が良い。

 山内さん夫妻の住む敦賀市山地区は、伝統野菜『黒河マナ』の生産地。一部の生産者が水稲と黒河マナの二毛作を行う昔ながらの農業を営む地域だ。繁広さんの両親も水稲(55㌃)と黒河マナを栽培する。

 繁広さんは当初、農業を継ぐ気はなかったという。しかし、舞鶴若狭自動車道の開通で農地の日照条件が悪化し生産量が減少。この時、地元の農作物のおいしさや農業の大切さを再認識し、継ぐことを決意した。

 一方で、これからの農業は今までと同じことをしていたら衰退していくだけだとも感じ、「他とは違う何か別の農作物を栽培できないか」と思案。独自に調べていくうち、シイタケの菌床栽培に興味を持った。

 近隣でシイタケ生産者がいなかったことに加え、追肥などの手間がかからず、栽培の管理もしやすいなどの点から生産を決心した。

 空調設備が完備したハウスで、菌床は同じ嶺南地域のおおい町産のものを使用。地元の野坂山からの伏流水を井戸でくみ上げ、菌床に手作業で丁寧に与ている。

 黒河しいたけは農薬を使わずに栽培。肉厚で味が良く、火を通すとジューシーでプリッとした食感を楽しめる。

 「シイタケ栽培では試行錯誤の日々だが、より多くの皆さんに届けられるよう頑張っていきたい」と話す繁広さん。「これからも黒河の農業の後継者として、昔と今の農業を次の世代に伝え、支えていきたい」と意気む。(土田美)

 

「大変だが、お客さんにおいしいと言ってもらえ、毎日頑張れる」と山内さん夫妻。

かさにキズが付きにくい上面栽培法を採用