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宮崎のたけのこ春の訪れ活気とともに 地域の恵み大切に 

2022年4月4.週号

福井県越前町・武田 哲(たけだ さとし)さん、淳子(じゅんこ)さん

「タケノコは、春の旬と活気を連れてきてくれる」と話すのは、越前町蚊谷寺(かだんじ)に住む宮崎筍生産部会(みやざきたけのこせいさんぶかい)の部会長・武田 哲(たけだ さとし)さん(72)と淳子(じゅんこ)さん(67)夫妻。水稲1㌶のほか、同町のブランドタケノコ「宮崎のたけのこ」を代々受け継いだ裏山5㌶で生産している。

同町で生産されるタケノコは、孟宗竹(もうそうちく)のタケノコで、「赤子」と呼ばれる。甘みがあり、身が柔らかいのが特徴。県内でも評判が高く、ブランドタケノコとして重宝されている。

タケノコ生産は、収穫前の3月から始まる。冬場の折れた竹の処理や下草の刈り取りを行い、「今年もよろしく」と感謝の気持ちを込めて、米ぬかを混ぜた肥料を地下茎近くに埋める。収穫を終えた6月にも、「今年もありがとう、来年もよろしく」とお礼肥えを必ず行っているという。

温暖化の影響で、近年収穫が早まっており、今年は4月13日に本格的な出荷が始まった。5月中旬まで掘り取る。

タケノコは、重さやサイズで選別後、規格品は贈答品や近くの直売所などで販売される。規格外もJAで全て買い取り、同町にある加工場で缶詰にされるため、廃棄されるものはほとんどない。「地域のブランド化と缶詰の加工場のおかげで、掘れば掘るだけ買い取ってもらえるので、自然からもらうご褒美だ」と笑顔の哲さん。

妻の淳子さんは、「蚊谷寺集落は8世帯しかなく、いつもは静かな農村。でも、4月に入ると春の恒例行事として集落出身の親せきや子供たちが集まり、一家総出でタケノコの収穫にあたる。村全体に活気があふれ、話題もタケノコ一色になって、にぎやかになる」と笑顔で話す。

哲さんが代表者の同部会は、40人の農家が参加、昨年は32・8㌧を出荷した。今年は豊作が見込まれる表年となるため、部会では昨年の2・5倍となる80㌧、全体で120㌧の出荷を目指している。

哲さんは「これからも代々受け継いできた土地の恵みを大切に守っていきたい」と話す。

 

「常に高品質のものをめざし、草管理や追肥などを丁寧に行っている」と哲さん

地下茎の根がみえるほど深く掘り進めて収穫するのが大変だという

哲さんが10分程度で掘り上げたタケノコ。おすすめの食べ方は「焼きタケノコ」。新聞とアルミホイルで巻いて、たき火で焼くのが一番おいしい