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土壌のバクテリア「ラン藻」活用 高い栄養価 おいしい米作り

2022年9月2週号

鯖江市・上坂 季美好さん

 「収穫を毎年楽しみにしているお客さまからエールを頂き、生産や商品開発に頑張っている」と話すのは、鯖江市大野町の茂右衛門(もうえもん)農場・上坂 季美好(うえさか きみよ)さん(50)。ピロール農法で水稲「コシヒカリ」274㌃を女性従業員と3人で栽培している。 

 ピロール農法とは、福井県で生まれた有機栽培農法で、土壌の中にいるバクテリア「ラン藻」を活用するというもの。ピロール資材と呼ばれる有機物からできた肥料を出穂期前に散布することで、弱アルカリ性でミネラルバランスの取れた田んぼになり、元々土壌の中にいるラン藻や微生物などが活性化され、栄養価が高く、甘くて香ばしいお米ができる。

 上坂さんによると、ラン藻には病原菌の増殖を防ぐ効果や、農薬・ダイオキシンなどの有害物質を分解する作用もあり、残留農薬がなくなるという。

 この栽培を始めたきかっけは、自身がアレルギー体質で、体調を崩したことから。体の中から元気になるため、口にするものの栽培から変えていこうと、父から農業を受け継いだ2003年にピロール農法による米の栽培を始めた。

 農作業では、女性ならではの感性を生かし、こまめな見回りや作業場の整理整頓、丁寧な除草作業などを行っている。

 

ピロール米の菓子 カフェで提供

 

 13年に自宅の蔵を改装して始めた「蔵カフェMON」では、生産したピロール米の焙煎米糠(ばいせんこめぬか)を使ったお菓子を味わうことができるほか、上坂さんが開発した日本酒「こしのひかり」なども販売している。

 「これからもお客様に喜んで頂けるものを作っていき、食の安心を提供していきたい」と話す。

写真:自ら開発した商品を前に「ピロール農法で栽培した米を食べ始めてから体調が良くなったと実感している」と上坂さん