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寒さに強く高い栄養価「オータムポエム」 品質に自信あり

2023年2月1週号

栽培20年 ボカシ肥料が奏功 

酒井賢一郎さん 福井市

 「県内でも珍しい野菜だが、買ってくれるお客さんがいることは最高の喜び」と話すのは、福井市でナバナの一種「オータムポエム」などの野菜を20㌃で生産する酒井賢一郎さん(80)。オータムポエム生産の先駆者として20年以上栽培を続けている。

 2003年に定年退職したのを機に、両親が管理していた農地を受け継いで就農した酒井さん。農業をするからには、ほかの農業者とは異なるもので勝負したいと思い、水稲ではなく、同時期にできたJA直売所を販路とする野菜栽培にチャレンジしようと考えた。

 栽培する野菜の選定について農林総合事務所へ相談した際、新潟県の特産品であったオータムポエムの生産の提案を受けた。

 オータムポエムは、新潟県で品種改良されたナバナの一種で、寒さに強く雪国でも育てられる。栄養価が高く、茎まで柔らかいのが特徴。アスパラ菜とも呼ばれている。

 オータムポエムの知識が全くなかった酒井さんは、普及員のアドバイスを受けながら、畑の作り方や栽培方法を参考書などで学び、栽培に適した土壌へ改良した。

 

米並みの収益達成

 

 生産を始めたころから、オータムポエムで米と同等の収益を目指し、生産から約5年で目標を達成した。さらに付加価値をつけるため、地元畜産農家や水稲生産者から堆肥と米ぬかを提供してもらい、自身で配合したボカシ肥料に変更。ボカシ肥料は栄養がゆっくり長期的に土壌になじんでいくため、肥料コストと追肥の手間を減らすことができた。

 この取り組みで「オータムポエムや野菜のうまみ成分が増し、さらにおいしくなった」とお客さんから声をかけてもらえるようになったという。

 「20年目でやっと自分の野菜の味や品質に自信を持って提供できるものができた」と酒井さん。「お客さんにおいしい状態で食べてもらえるよう、収穫のタイミングを見極めながら、旬の食材を多くの人に届けていきたい」と話す。

 

「毎年労力と利益を見越して、年間の栽培スケジュールを立てている」と酒井さん

 

オータムポエムは、11月から2月までJA福井県農産物直売所「喜ね舎(きねや)」や市内コープなどで販売