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私の農業経営 田を守り地域の暮らしを守る

2023年3月1週号

南越前町 桂川静雄(かつらがわ しずお)さん
 農薬の使用を減らした特別栽培の「コシヒカリ」や「日本晴」など主食用米をメインに生産しています。以前は建築関係の仕事をしていましたが、自分の裁量で経営できる農業に興味を持ち、30代で就農しました。
 私の住む南条地区は、きれいな水と豊かな自然環境に恵まれており、昔から米作りが盛んです。しかし、水持ちが悪い圃場などがあり、初めは管理が難しく、収量や品質の維持にとても苦労しました。
 谷あいのため小さな圃場が多く、圃場間の移動が大変で、夏の急斜面での除草作業などさまざまな労力がかかり、体調を崩すようなこともありました。
 そのような中でも、色彩選別機などの導入や周りの人の協力で、今では高品質のお米を提供することができるようになりました。特に、地元のJAが実施するインセンティブ買入制度共励会で、2017年から3年連続で自分のコシヒカリが入賞したことは、自信につながりました。
 近年、異常気象が続き、農作物の生育不良や農作業中の事故に遭うことなどのリスクを考え、19年に収入保険に加入しました。昨年は米価下落やシカによる食害など、思いがけず収入が減少しましたが、収入保険に加入していたため経営が滞ることなく助かりました。
 私の地域でも高齢化と過疎化が進み、耕作放棄地が増える現状を目の当たりにしています。農地が荒れれば獣害がひどくなり、この地域に住めなくなります。田を守り、地域の稲作を守ることは、地域の暮らしを守ることでもあります。
 おいしい米づくりの条件に恵まれているこの地域で、これからも良質な農産物を多くの人に届けていきたいです。

「収穫した米への評価は自信や誇りにつながります」と桂川さん