地元の食材、仲間と協力 伝統の味を次の世代に
2023年5月3週号
福井市 キッチンささ
「子どものころ、畔(あぜ)豆を使ったかき餅がおやつだった」と話すのは、福井市笹谷町の「キッチンささ」代表・辻晴代さん(65)。市の支援を受け、地元食材を使った昔ながらのかきもちや伝統料理を製造、近くの直売所で販売する。
子どものころから親しんできた伝統の味を残したいと考えた辻さんは、地元の仲間の助けを借りて同店を開業した。「提供する料理やかきもちは親の代から作り継いできたもの。今も数多く作り続けるられるのは、集落の奥さま方が受け継ぎ、今に伝えてもらえたおかげ」と笑顔を見せる。
使用する米や大豆は、同市清水地区で生産されたもの。春の終わりには打ち豆入りのちらし寿司をアブラギリの葉で包んだ「葉寿司」、夏はフキを甘辛く炊き上げた「きゃらぶき」など、旬の食材を使った料理を提供する。
今年の新商品は、みそ味のかきもちを同市清水山町の企業と協力して試作中だ。辻さんは「これからも地産地消を進めながら、伝統の味を次の世代に残していきたい」と話してくれた。
「導入した自動切断機と乾燥機などを利用しながら、伝統を継いでいきたい」と辻さん
主力のかきもち。辻さんが昔から親しんできた塩味(左)と甘味がある