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醸造用ブドウ栽培やワイン造り学ぶ 中山間地の振興に 

2025年11月2週号

福井県農林水産部中山間農業・畜産課 ふくいワインカレッジ

 ワインづくりを通じて中山間地域の振興と新たな担い手育成をめざす「ふくいワインカレッジ」は開講から8年目を迎えた。これまでに約80人が受講し、受講をきっかけに県外から移住する人も現れるなど地域の活性化にも繋がっている。

 県は水稲の栽培が難しい中山間地域でも栽培できる醸造用ブドウに着目。ワイナリーの設立によって人の流れが生まれることを期待し、2018に「ふくいワインカレッジ」を開講した。
講座は「教養コース」「実践コース」に分かれている。教養コースでは、ワインや醸造用ブドウ栽培について専門的な知識を講義形式で1年間学ぶ。実践コースは2年間かけ、より専門的な知識の習得に加え、醸造用ブドウの栽培実習や醸造実習を通して技術を身につける。
 醸造実習は大野市の「白山ワイナリー(株式会社白山やまぶどうワイン)」で行われ、同社の谷口一雄社長から直接指導を受ける。どちらのコースも年齢や職業を問わず多様な人が学ぶ。  
 受講をきっかけに大阪から福井に移住した鈴木貴能さん(49)は、「会社の理解を得て、テレワークを続けながら、移住先で醸造用ブドウの栽培に取り組んでいる。講座は実践的で、ワインづくりに必要なことが網羅されている。酒税法などの法律も学べ、ワイナリー設立に必要な手順が具体的に分かった。『自分にも出来そうだ』と思えるようになった」と話す。
 また、受講2年目となる福井市の富永昇さん(57)は「知識が増えるほど新たに知りたいことが出てくる。初年度は理想の味と出来上がりの違いに悩んだが、福井の風土に合った味わいのワインをぜひ造りたい」と意気込む。
 県の担当者は「ワイン造りは短期間では成果が見えにくいが、中山間地域のなりわいづくりのために今後も継続して支えていきたい」と話す。
 これまでの受講生の中には、県内でワイン生産や販売を始める人も現れた。ふくいワインカレッジの取り組みは地域に新しい風を吹き込みつつある。

▶現在令和8年度受講生を募集中。

申込締切は令和8年2月28日(土)。問い合わせは福井県農林水産部中山間農業・畜産課☎0776(20)0446まで。

 


写真①瓶詰後のワインを手にする鈴木さん(左)と富永さん(右)


写真②除梗破砕機を使い収穫したブドウの果梗を取り除き、実を軽く潰す鈴木さん(左)